鈴木康大(カヌー)と小松正治の経歴!パラドーピングの心理と犯罪

カヌー

アンチ・テロ&アンチ・ドーピング

2020年オリンピック開催国が日本となった理由の1つには日本がクリーンであることがあります。

このような背景の中で起きた鈴木氏の事件は前代未聞でもありますし、歓迎されるものではありませんね。

日本のスポーツ史の中でも汚点として残っていくことでしょう。

その上で、オリンピックを掛けた試合などでは卑劣なことも起こります。

ドーピングを仕掛けられることも諸外国では少なくないようです。

このような禁止薬物を投入するなどし、他者をおとしめようとする行為をパラ・ドーピングといいます。

パラドーピング

  • 禁止薬物を投入するなどし、他者をおとしめようとする行為

日本ではまだ馴染みのない言葉ですが、海外ではパラ・ドーピング対策もあたり前になっている国も多いのです。

本当であれば日本で馴染みになる必要のない言葉だったかもしれません。

しかし、オリンピックの開催国である以上は、パラ・ドーピングの認識を深めておいた方が良いのでしょう。

今回は、鈴木康大(カヌー)小松正治の経歴受賞歴を比較する中で、パラ・ドーピングが起きた経緯を見ておきましょう。

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鈴木康大(カヌー)と小松正治の経歴!

カヌー

鈴木康広 32才 小松正治 25才
高校 国体優勝 国体二年連続優勝

インターハイ3年連続優勝

大学/海外 日本ランキング1位  大学進学せず海外で修行
社会人 2010年アジア大会 銅メダル 2014年仁川アジア大会 銅メダル
2017年 世界選手権出場 2017年 世界選手権出場

こちらだけを見ると力は拮抗しているようにも見えるかもしれません。

アジア大会では2人とも銅メダルを獲得しています。

しかし、小松選手の年齢は7才も若く、4年後のアジア大会です。

次に、同じ大会での戦績を見てみましょう。

500m主要大会比較

鈴木 小松
2016年10月 いわて国体 3位 5位
2017年3月 海外派遣選手選考会 3位 2位
2017年9月10日 日本選手権 5位 3位

2016年にリオオリンピックに出場できなかったこともあり鈴木元選手は一度引退します。

その後に日本でのオリンピックを目指そうと義父や周囲からの声もあり復帰するのです。

妻が元オリンピック選手でカヌースプリントで6位を取っていたこともあり、夫婦でのオリンピックへの出場は周囲も期待したことでしょう。

プレッシャーもあったことは確かでしょう。夫婦で福島県でスポーツジムを経営していますから、夫婦でオリンピック出場ともなれば話題性も抜群です。

周囲の期待に背中を押されるように復帰する鈴木元選手でしたが、実際には想像以上に大変なことでした。

カヌースプリントは穏やかな川をそのまま進むものですので、技術ももちろんですが筋力や体力そのものが問われます。

競技的には、羽田卓也が銅メダルを獲得したスラロームとは全く違うのです。肉体がそのまま競技に反映してしまうのです。

年齢もあり、また一度は引退をした元選手が若手と一緒に戦うのも大変なことでしょう。

しかし、オリンピックへの夢は諦めきれませんでした。

なぜなら、最後の挑戦になることは確実だったからです。

鈴木康広のオリンピックへの挑戦歴

2008年 北京五輪 鈴木選手 出場ならず
2010年 アジア大会 他の選手のパドルが破損
2012年 ロンドン五輪 鈴木選手出場ならず
2016年 リオ五輪 出場ならず

➠引退

2020年 東京五輪 出場ならず 事件

これまで、3度挑戦して夢が叶いませんでした。

一度は引退したものの、戻ったからにはといった気持ちもあったことでしょう。

彼の弁明の中では「焦り」との言葉が印象的です。

年齢的にも次の2020年東京オリンピックが最後の挑戦に間違いはありませんでした。

鈴木康広のパラ・ドーピングの経緯

カヌー

2017年8月 遠征先ハンガリーにて 禁止薬物購入
2017年9月10日 レース前日 薬物細かく砕く
2017年9月11日 レース当日 ボトルに薬物を混入

鈴木康広のパラ・ドーピングの一部始終です。

9月11日には薬物混入の件と練習に用いるGPSの盗難について小松選手が被害届提出しています。

禁止薬物のメタンジェノンを遠征先であったハンガリーからインターネットで購入します。

相場で見ますと50錠で1300円程度ですから決して高いものではありませんね。

そして、海外(ハンガリー)から千葉の実家へ送付しています。

事前に購入していることからも、計画的な犯行だったのではないかと義父もコメントされています。

また、実家に禁止薬物を送っている点からも用意周到性が垣間見られます。

小松選手が資格停止処分に

10月20日付 小松選手「陽性」反応が出て暫定的資格停止処分

➠ドーピング発覚後、小松選手は真っ先に鈴木選手に連絡

11月20日 良心の呵責から鈴木選手が連盟会長に事実を伝え問題が発覚

二人はものすごく仲が良かったといいますから、小松選手は「陽性」の結果を真っ先に鈴木選手に連絡しています。

2人はカヤックフォア(4人乗り)200m・500mの両種目で、チームメイトとして優勝も果たしています。

同じ試合に出て、呼吸を合わせて一緒に勝利を経験しているのですから、今回の事件は本当に悲しいことですね。

その後、連盟でのドーピングについての厳しい講習もあり、自白に至ります。

もしかすると、ある程度犯人の目星がついていたのかもしれませんね。

果たして本当に両親の呵責からの自白なのかどうかは怪しいところもあります。

周囲からも既に怪しまれていたのかもしれません。

なぜなら、8年越し

  • 道具が盗まれた
  • 道具に細工された
  • 盗難にあった

などが頻繁に起こっていたからです。

もちろん、全てが鈴木がやったことかどうかは定かではありませんが、疑われても仕方がないことをしてきたのは日を見るより明らかです。

また、細工や盗難に関しては既に認めているものもあり、小松選手に既に謝罪をしています。

なぜこの様な事件が起きたのでしょうか。

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鈴木康広のパラ・ドーピングの動機と心理

ドーピング

小松選手は元々はそんなに強くなかった選手でした。
しかし、海外留学を経て強くなって帰って来たのです。

カヌー連盟の調査に対して、犯行後の鈴木は次の様に答えています。

「若手が台頭して実力が非常に伸びてきた」

「競技会でも勝てなくなったので」

「私の愚かな至らない点、私の弱い部分のために」

 

どれもがパラ・ドーピングをする理由にはなりませんね。

勝てなければ、本来であれば練習をして記録を伸ばす。

自身のベストと向き合うなどするでしょう。

短絡的に犯罪には結びつきませんし、愚かであろうが弱かろうが犯罪に走ろうとは考えないでしょう。

東京五輪出場が危うくなったと感じてライバルを陥れようとしました。

オリンピックに出場した経験はない中で最後の日本で行われるオリンピックに出たい。

その様な気持ちもあったことは確かでしょう。

動機1

小松選手は若手で実力も伸びていました。

しかし、体力的にはこれ以上は伸びないことが分かっていたのでしょう。

ここまでやってもあと少しが伸びない!焦りも凄かったのでしょう。

鈴木選手は1000mの第一人者だが、東京五輪では500mの出場を狙っていました。

動機2

オリンピック出場自体が目的になっていた。

出場のためなら何をしてもOKとなります。

動機3

カヌーはまだマイナースポーツであり、狭い世界だからとなめちゃった。

 

動機を考えてみましたが、いずれも犯罪をするための動機にはなりませんね。そんなものは存在しませんしね。

カヌーの世界はまだまだマイナーで少人数のため、トップ選手同士のつながりが強いことも特徴です。

鈴木康広のパラ・ドーピングの心理

ドーピングする人の特徴としては、その競技種目のトップに入っている選手であることが言えます。

今回のケースではオリンピックに日本の代表として出れるか出られないかが掛かっています。

例えば、日本人選手がボルトに100m走で勝とうとしてドーピングをすることはないのです。

タイムが離れすぎていますので、ドーピングでどうにかするのは難しいですよね。

ドーピングをするのはトップ集団に属してある程度実力が拮抗している必要があるのです。

 

今回のケースで見ますと、年齢的な差もありますし体力的な差もあります。

以前のタイムでは拮抗していたものの、現在では実力差が出て来ています。

もしも、競技人口の母数が大きければ少しのタイム差でも順位の差は開くことでしょう。

しかし、先にも動機で述べましたが、「競技人口が少ない」ことがあります。

100人いれば50位であっても、5人でやれば2位か3位ですよね。

もしも2位でしたら、上には一人しかいない状態ができてしまいます。

 

本当は実力差は歴然なのに、トップ集団に属しているために錯覚を起こす。

普通校でいつも1位だった成績が、進学校に言った瞬間「成績が普通になった」なんてケースも多いですね。

この様な錯覚を起こす状態に背中を押され、本当は多いはずの少ないライバルを蹴落とそうとしたのです。

 

今回は単なるドーピングではありませんね。

パラ・ドーピングを仕掛け、誰かを蹴落として自分が勝とうとしています。

  • 勝てば名誉と莫大な報酬が手に入る。
  • 多くの人から賞賛される。
  • 栄誉は生涯消えることはない。

その上、パラ・ドーピングまでにも散々蹴落とそうとしてきて失敗してきています。

結果、犯罪を犯してしまいます。

それまでにも既に窃盗罪を犯しています。また、禁止薬物を投入して本人の許可もなく飲ませることは傷害罪(人の生理機能に障害を与えるため)にあたりこれも犯罪ですね。

賞賛や報酬や栄誉を得るためには手段を選ばなかった。

努力で補えるだけの才能や資質がないことが分かっていた。

 

最後にライバルを蹴落とすためにできる手段が犯罪行為だった。

 

小松選手にとっては「ライバルではない」のでしょうが・・。

 

悲しい出来事ですね。

 

自分自身が勝てないことがわかっている。

蹴落とすしかない。

蹴落とすには犯罪しかない。

バレなければOK!!

 

結局はバレなければOK!!

このような心理状態だったのでしょう。

 

犯罪を実行している最中には感覚も麻痺してしまい、犯罪行為をしている自覚もなかったのかもしれません。

目的させ果たせれば、バレなければOK!

一時期は日本ランキング1位だった鈴木が取った行為は犯罪でした。

■心理

  • 実力が拮抗していると錯覚
  • ある種の1競技内の閉鎖性の中で事態の大きさへの誤認知
  • バレやしない

 

禁止薬物に対して日本はクリーンな検査体制が整っています。 日本のスポーツ史の中でも汚点として語り継がれることでしょう。

犯罪の小さい段階で誰かが気付いてあげることはできなかったのでしょうか。

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まとめ

犯人と被害者を比較する中でパラ・ドーピングの心理を考えてみました。

結局は犯罪行為ですから、正直何ともいえません。

健全な心理ではないことは確かです。状況も様々なプレッシャーもあったことでしょう。

しかし、犯罪を容認はできません。

 

目的至上主義は危険ですね。

よくプロセスが大事と言います。

ただ、プロセスが良ければ負けても良いとは思いません。

もちろん、全ての競争原理の中で勝者が笑い敗者は泣くといったこともあるでしょう。

「正々堂々と」いいます。

「スポーツマンシップ」ともいいます。

お互いがスポーツマンシップに則って勝負をするから面白いのであって、感動もあるのでしょう。

目的が勝つことでも良いでしょう。

しかし、スポーツマンシップを忘れた所には何の感動もないことは本人が遅かれ早かれ気付くでしょう。

心のある勝利を目指してほしいと思います。

 

パラ・ドーピングの被害者(とされている)伊藤義剛さん

ドーピング

東京都内でトレーニングジムを経営している方に伊藤義剛さんがいます。

伊藤さんは陸上選手で当時は25歳でした。

1996年に男子陸上100mに出場します。

前年に追い風参考ながら9秒8(手動)をマークした伊藤選手がアメリカのアルバカーキ合宿での抜き打ちのドーピング検査で「陽性」反応が出たのです。

禁止薬物が出たというのです。

伊藤選手は一貫して「潔白」を主張します。

しかし、結果は2年間の出場停止処分になってしまいます。
当時25歳でしたので、一番乗っている時です。2年間の出場停止は選手生命の短い陸上短距離走にとっては致命的です。

その2年後、1998年5月の国際大会で、日本人トップで日本代表に返り咲くのです。

凄い方ですね。

禁止薬物の使用をせずにきちんと2年後に日本の代表になれることを証明してみせたのですから。

しかし、パラ・ドーピングの怖さは冤罪です。

一度、疑惑を掛けられてしまうと、「もしかしたらドーピングをしていたのでは・・」との疑念は簡単には消え去らないのです。

伊藤選手をパン・ドーピングの被害者とされているとの言葉がつきまとうのです。

伊藤選手は思い返してみました。
もちろん、薬物摂取の覚えはもちろんありません。

思い当たることが1つありました。

それは、67人で共同生活をしていた時期があったことです。
その時に、禁止薬物をドリンクなどに投入することは可能な状況でした。

いたずらなのかとうなのかは分かりません。

しかし、2年間の資格停止処分を免れることはできませんでした。

パラドーピングは人の人生を簡単に変えてしまいます。

パラ・ドーピングから身を守るために

  • ペットボトルを飲む時には蓋がカチッと鳴るかどうか確認する。
  • 飲みかけは飲んではいけません。
  • 自分の食事は自分で守る。
  • 飲食は毎回チェックする。
  • 飲食物を人が触れることが可能な場所に置かない

これらが国際的には当たり前なのですね。

 

パラドーピングは禁止薬物を投入するなど他社をおとしめようとする行為です。

今回の事件で、日本でも安心できないことが明らかになってしまいました。

さらなるドーピングの知識の習得と国外の意識と国内の意識の差を埋めていく必要がありそうです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

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